MONO舞台『約三十の嘘』の感想・ネタバレ!

MONO『約三十の嘘』は、1996年初演、2001年に再演されています。

2004年には、椎名桔平・中谷美紀・妻夫木聡ら出演で映画化もされていたので気になっていた作品です。

2001年の再演舞台を観劇三昧で観ることができたので、感想をご紹介します。

目次

舞台『約三十の嘘』あらすじ・ストーリー

昔一度仲間の裏切りでバラバラになった詐欺師の集団が5年ぶりに集まった。もう一度仕事をする為に北海道へ向う寝台列車に乗っている7人の男女。そして3ケ月後、帰りの寝台列車。うまくいったはずの仕事だが売り上げの入った鞄がない。一体誰が騙しているのか。コンゲーム的展開で、信じたいのに信じられないと いう微妙な関係を、行きと帰りそれぞれの列車のコンパートメントを舞台に描いた作品。

出典:約三十の嘘-観劇三昧

舞台『約三十の嘘』(2001年)の出演者

水沼健(佐々木)

奥村泰彦(久津内)

尾方宣久(横山)

土田英生(志方)

西野千雅子(今井)

増田記子(宝田)

舞台『約三十の嘘』感想・ネタバレ

ここからは、ネタバレを含みます。

まずは舞台版を確認したい人は、観劇三昧に登録すると観ることができます。

舞台版『約三十の嘘』は、登録すれば無料が観ることが可能です。

観劇三昧 公式サイト

事件が起こるまでをテンポよく見せてくれる

売上が入ったバッグが紛失するまで、約1時間。

事件(=売上が入ったバッグが紛失する)が起こるまで、時間をかけています。

しかし、とてもテンポが良いため、飽きさせない演出がされています。

そして、登場人物の人間性・関係性が描かれています。

ネックレス

仕事を終え帰りの列車での出来事。

壊れたネックレスを直そうとする今井に、

「壊れたネックレスを手品で直すことはできない。」

「そんなにイジってたら、なおさら壊れる。」

このような台詞があります。

これは、すでに壊れていた詐欺師たちの関係性を象徴した台詞と言えるかもしれません。

5年前に裏切った今井。

頼りない久津内。

志方に騙された過去を持つ佐々木。

仕事ができない佐々木を信用できない志方。

そして、売上の入ったバッグが紛失した事件によって、その関係性はさらに壊れていく。

人は変われない

「5年や10年では変わらない」

誰よりも信用深い佐々木が言ったセリフ。

でも本当は、誰よりも人を信用したい、また志方に認められたい。そんな心理の裏返しだったのかもしれない。

それは、2つのシーンから想像します。

ラストシーンで、今井・横山・佐々木の3人で、話を作るゲームをします。

今井・横山は、作り話としつつ、実は持ち逃げしようと考えていたことを告白します。

しかし、佐々木はその流れでも「作り話」をします。

そしてもうひとつは、志方と佐々木が二人きりになったシーン。

このシーンで、持ち逃げしようと企んでいた志方と佐々木は、降りる駅の打ち合わせをします。

そして、志方は佐々木に言います。

「うまくなったな。」

この瞬間、佐々木にスキが生まれてしまったのでしょう。

志方に認められたと思えたから。

その結果、志方に騙されてしまった、のでは。

誰もが持ち逃げを考えていた?

志方に持ち逃げされた後も、今井・横山・佐々木・宝田は、決して怒りを見せませんでした。

もしかしたら、4人は始めから持ち逃げを考えていたのかもしれません。

(今井・横山は間接的に告白していますが)

そのため、志方が持ち逃げしたことに怒りが生まれなかったのかもしれません。

唯一、久津内だけは持ち逃げは考えていなかったかも。

頼りないとレッテルを貼られてしまっていた久津内は、「成長した。」とみんなに認められたかっただけなのかもしれません。

舞台『約三十の嘘』まとめ

映画化もされているMONO『約三十の嘘』。

ワンシチュエーションで会話劇ですが、笑いを散りばめながらも繊密に練られた作品でした。

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この記事を書いた人

元演劇の人で、演劇が好きだった人。

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