2016年公開『怒り』は、監督に李相日、出演は渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、広瀬すず、宮崎あおい、など豪華キャスト。
原作は、吉田修一『怒り』。
この記事では、映画『怒り』のあらすじ、キャストや感想についてご紹介します。
あらすじ
ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。現場には、『怒』の血文字が残されていた。犯人は行方をくらました。事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。千葉――3か月前に突然家出をした愛子を連れて帰った父・洋平は、千葉の漁港で働く。8年前に妻を亡くしてから、男手一つで娘を育ててきた。愛子は、2か月前から漁港で働きはじめた田代に出会った。東京――大手通信会社に勤める優馬は、日中は仕事に忙殺され、夜はクラブで出会う男と一夜限りの関係を続けていた。彼には末期がんを患う余命わずかな母がいた。ある日、優馬は新宿で直人に出会った。沖縄――男と問題を起こした母と、夜逃げ同然で離島に移り住んできた高校生の泉。ある日、無人島でバックパッカーの田中に遭遇した。殺人犯を追う警察は、新たな手配写真を公開した。その顔は、出会った男に似ていた。
監督・キャスト
さらに同じく9月にスペインで開催される第64回サン・セバスティアン国際映画祭では、コンペティション部門での出品が決定! プレミア上映に、渡辺謙・李相日監督が参加します!#映画怒り#9月17日公開#サン・セバスティアン国際映画祭 pic.twitter.com/wmTFgulZhv
— 映画『怒り』(4.12BD&DVD発売) (@IkariMovie) 2016年8月24日
監督・脚本・・・李相日
槙洋平・・・渡辺謙
田中信吾・・・森山未來
田代哲也・・・松山ケンイチ
大西直人・・・綾野剛
小宮山泉・・・広瀬すず
槙愛子・・・宮﨑あおい
藤田優馬・・・妻夫木聡
明日香・・・池脇千鶴
薫・・・高畑充希
南條邦久(刑事)・・・ピエール瀧
北見壮介(刑事)・・・三浦貴大
知念辰哉・・・佐久本宝
藤田貴子・・・原日出子
原作
吉田修一の小説『怒り』が原作。第12回本屋大賞候補になってます。
感想(ネタバレあり)
『怒り』を観終わった時、私は「大事な人をどこまで信じることができるのか」と考えてしまいました。
この映画はサスペンスの部類になると思うけど、それよりも「信じることへの葛藤」が描かれた作品。
誰が犯人なんだ?と楽しむよりも、犯人とわかった時の”怒り”、犯人ではなかったとわかった時の”怒り”、そして、”信じる心の脆さ”を感じる映画。
以下からはネタバレを含む感想を紹介します。
主役級の俳優陣
キャストは、主役級の俳優陣ばかりで豪華。
が、主役級の俳優でキャスティングされた作品は、正直期待はずれの場合も少なくない。
『怒り』では、どの俳優も素晴らしく魅入ってしまいました。
「どの人のどの演技が・・・。」と語り出したら、書き終わることができないので、中でも印象的だった俳優さんを。
まずは、森山未來さん。
大好きな俳優さんの一人なのですが、「怒り」でもその存在感が印象的。この映画をきっかけに、出演作品をもっと観たくなってしまいました。
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映画をご覧になった一般の皆様からの感想を公式サイトにて掲載中です☺✨✨✨
感想はこちらから★https://t.co/ljn47wtLmr#映画怒り #感想
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もうひとりは、宮崎あおいさん。
愛子の笑顔と、恋人・田代(松山ケンイチ)の正体が明らかになった時の涙が印象的でした。
沖縄編、辰哉役の佐久本宝くん(^^)
東京・沖縄での一般オーディションで1200人の中から選ばれた期待の新人ですッ✨✨✨#映画怒り😡😈😠#9月17日公開#佐久本宝#沖縄#オフショット pic.twitter.com/bcu0miFYqq— 映画『怒り』(4.12BD&DVD発売) (@IkariMovie) 2016年8月2日
そして、佐久本宝さん。
『怒り』が映画初出演で、「第40回日本アカデミー賞新人俳優賞」を受賞。
この映画を観るまで佐久本宝さんのことを知らなかったのですが、素敵な俳優さんでした。
好きな人への想いと裏切られた「怒り」、感動しました。
実際の事件をモデルにしたわけ
この映画で気になったのは、実際に起きた事件をモデルにして描かれていること。
映画で描かれた殺人事件は、2007年に千葉県市川市で実際に起きた事件がモデルになっているようです。
当時のことを知っている人は、映画を観てすぐに気づくように作られています。
千葉県市川市の事件については、原作者・吉田修一さんがインタビューで以下のように答えています。
読売新聞で一年間連載されていた本作ですが、この作品を書こうと思われたきっかけをお聞かせいただけますか。
吉田: そもそものきっかけは、千葉の市川で起こった市橋達也の事件です。
——市橋の事件と本書の容疑者・山神の犯行や逃走、捜査過程などに、重なる部分がありましたよね。
吉田: ええ。ただ、事件自体に注目したわけではありませんでした。市橋の逃走中に目撃情報がたくさん出てきましたよね。「もしかしたら市橋を見たかもしれない」「自分の知人かもしれない」と警察に電話をしてくる人たちに、僕は興味がありました。有力な目撃証言ばかりではなかったはずです。彼らは、なぜ殺人犯と会ったかもしれないなどと思ったのだろう、どういう人生を送ってきている人々なのか、と……そこから始まったんです。
引用元:吉田修一氏インタビュー『怒り』を中心に小説について「週刊読書人」 – クリエイターズファイルほか連載!honto+
このインタビューから、千葉県市川市の事件は『怒り』を書くきっかけになったけど、事件自体に注目したわけではないと答えています。
なぜ、実際の事件と重なるように描いたのか・・・?
よりリアリティのあるものを見せるため?説得力も持つため?
私には難解でした。
セクシャルマイノリティや知的障害者について
『怒り』では、実際に起きた殺人事件をモデルにしているだけでなく、LGBT(セクシャルマイノリティ)、知的障害者を取り上げています。
「信じていた人がもしも、殺人事件の犯人だったら・・・」
これだけでも、物語は展開していきますが、LGBT(セクシャルマイノリティ)、知的障害者などの問題を絡めることで、より厚みのある作品になっていると思います。
それだけに、軽い気持ちで観る(観られる)映画ではないと感じます。
犯人は誰か?は解りやすい
素性の分からない謎の男、大西直人(綾野剛)、田代哲也(松山ケンイチ)、田中信吾(森山未來)。
この中に犯人がいるわけですが、映画を観ていると案外単純にわかってしまうようになっています。
怪しい人ほど犯人ではないわけで。
また、千葉県市川市の事件の犯人が捕まるまでの動向について知っている人なら気づくと思います。
(ちなみに私は、ラストまでわからなかったけど。苦笑)
はじめにも書きましたが、誰が犯人かは重要ではないので大した問題はないのでしょうけど。